介護現場におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進む中、「よく聞くけど、正直よく分からない」というIT・デジタル関連の用語が増えてきています。
例えば記録システムの導入時や補助金の申請、ICTツールの研修などの場面で、こんな用語が飛び交っていませんか?
「クラウドで記録が管理されます」
「LIFEにデータを提出します」
「IoTで見守りの効率が上がります」
「API連携が可能です」
でも実際には、**「意味はなんとなく」「聞いたことはあるけど説明できない」**という職員も多いのが現実です。
この記事では、介護職員が知っておくと役立つデジタル・ICT用語を厳選してわかりやすく解説します。現場での活用イメージや、覚えるコツも紹介しているので、苦手意識がある方も安心してお読みください。
現場でよく使われるデジタル用語20選

1. DX(ディーエックス)
「デジタルトランスフォーメーション」の略。
IT技術を活用して、業務の効率化やサービスの質を向上させ、働き方や仕組みを変革していくこと。
例:「うちの施設もいよいよDXに取り組むらしい」
2. ICT(アイ・シー・ティー)
「情報通信技術」の総称。インターネット、パソコン、スマホ、アプリ、クラウドなどを含む広い概念。
例:「介護記録をICT化すると、記録業務が楽になるよ」
3. クラウド
データをインターネット上で保管・管理する仕組み。端末に保存するのではなく、どこからでもアクセスできるのが特徴。
例:「クラウド記録だから、他の職員もすぐに見られる」
4. LIFE(ライフ)
科学的介護情報システム。介護報酬加算(LIFE加算)を受けるには、定期的に利用者のデータをこのシステムに提出する必要がある。
例:「LIFEへの入力は、記録ソフトと連携して自動送信してる」
5. IoT(アイ・オー・ティー)
「モノのインターネット」。センサーや機器がネットにつながり、自動で情報を送受信する技術。
例:「IoT対応ベッドが離床を感知してスマホに通知してくれる」
6. センサー
動き、温度、音、体重、体圧などを感知する装置。見守りや健康管理に活用される。
例:「センサーが反応して、転倒の可能性を知らせてくれる」
7. アプリ(アプリケーション)
スマートフォンやタブレットで使うソフト。記録、連絡、健康管理など多目的。
例:「介護記録アプリなら、スマホで簡単に入力できるよ」
8. QRコード
スマホなどで読み取ることで、情報にアクセスできるバーコードの一種。
例:「利用者のQRコードを読み取って記録入力する仕組みです」
9. UI(ユーザーインターフェース)
アプリやソフトの見た目や使いやすさのこと。
例:「このアプリはUIが直感的で操作しやすい」
10. AI(人工知能)
人間のように学習・判断・予測を行う技術。介護では見守りや記録分析に活用されている。
例:「AIが転倒リスクを分析してアラートを出すようになってる」
11. ビッグデータ
大量の情報データ。LIFEやAIが分析する対象として用いられる。
例:「ビッグデータを使えば、施設全体の傾向も見えてくる」
12. クラウドサーバー
データを保管するネット上の倉庫のような場所。
例:「バックアップはすべてクラウドサーバーに保存されています」
13. セキュリティ
データやシステムを安全に保つための対策。
例:「個人情報を扱うから、セキュリティ設定は厳重にね」
14. アカウント
特定の人がシステムにアクセスするためのIDとパスワードの組み合わせ。
例:「この記録ソフトは職員ごとにアカウントが分かれてます」
15. ログイン/ログアウト
アカウントでシステムに入る/出ること。
例:「記録する前にログインしてください」
16. チャットボット
自動応答する会話プログラム。質問に答えたり、操作を案内したりする。
例:「記録方法で困ったらチャットボットが教えてくれるよ」
17. アップデート
アプリやソフトの更新作業。新機能の追加やバグ修正が含まれる。
例:「アップデートしたら、記録画面が見やすくなった!」
18. API連携
異なるシステムやソフトが、データを自動でやり取りできるようにする仕組み。
例:「勤怠システムと記録ソフトがAPI連携してます」
19. ペーパーレス
紙を使わずにデジタルで記録・共有を行うこと。
例:「うちの施設はほぼペーパーレスになってきたよ」
20. UI/UX(ユーザーインターフェース/体験)
見た目だけでなく、使ってみてどう感じるか(UX)も含めた総合的な「使いやすさ」。
例:「UI/UXが良いアプリは、使っていてストレスが少ない」
覚えるコツ:意味+現場での使い方で理解する
用語を「単語」として暗記するのではなく、現場での“使われ方”とセットで覚えるのがポイントです。
たとえば、
- 「クラウド」→「どこからでも記録が見られる仕組み」
- 「センサー」→「転倒や離床を感知してくれる装置」
- 「LIFE」→「加算のために必要な情報提出先」
このように、“自分に関係ある場面”で意味づけすると、頭に残りやすくなります。
まとめ:用語を理解すれば、現場の変化に強くなれる
デジタル用語は、最初はとっつきにくいかもしれません。
ですが、言葉の意味が分かれば、研修や導入のときに「何を言っているのか」が理解でき、安心して参加できるようになります。
- 会議での説明が分かるようになる
- 新人や他職種とのやり取りがスムーズになる
- 自分から「こう使えばいいかも」と提案できるようになる
これはすべて、「用語を知っているかどうか」から始まる変化です。
介護の現場に求められる力は、決してITスキルの高さではありません。
“分からないことを少しずつ理解していく姿勢”こそが、DX時代を生き抜く大切な力なのです。
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